おご)” の例文
寿司談義は小遣銭こづかいせんが快調にまわるようになり、年も四十の坂を越え、ようやく口がおごって来てからのことになる。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
空は完全に晴れ上がって、太陽の輝きには夏の最後のおごりがあった。谷を吹き上げる南風がトリカブトの群落をなでて、水ぎわをはるかに離れた身体には汗が感じられる。
二つの松川 (新字新仮名) / 細井吉造(著)
おごったことはいらないからこれで友助のところへ送り膳を届けるように、また余ったのはその女にもやって早く出てゆかせるように、さもないと幸太郎のためにもよくないから
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
高梨のおごりでそれを見た。風がない。良い月夜だ。(四、二三)
万三郎は彼に酒をおごってやり、また明日も会おうと約束をした。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)