賽錢箱さいせんばこ)” の例文
新字:賽銭箱
仁三郎の臍繰へそくり——そんなものが若しあつたとしたら、ろくにかぎぢやうもない、仁三郎の部屋へ忍び込んで、何とかしてるのが本當で、賽錢箱さいせんばこの上に登らなければ取れない鈴の緒を引千切つて
うるほひのある眼で小池の後姿うしろすがたを見詰めつゝ、お光はう言つて、帶の間から赤い裏のチラ/\と陽炎かげろふのやうに見える小ひさな紙入れを取り出し、白く光るのを一つ紙に包んで、賽錢箱さいせんばこに投げ込み
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
稻荷いなりさまが社前しやぜんなるお賽錢箱さいせんばこ假初かりそめこしをかけぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
赤い鳥居が十ばかり、その奧は一間四方ほどの堂があつて、格子の前には、元大きな拜殿の前にあつたといふ、幅三尺に長さ六尺、深さ三尺五寸もあらうと言ふ法外に大きな賽錢箱さいせんばこがあります。
徳藏稻荷の木連格子きつれがうしは、紅殼べにがらを塗つたばかりだつて、和泉屋の亭主は言つたね、——あの拜殿の鈴をむしり取るのは、賽錢箱さいせんばこの上に登らなきやならねえが、足元が惡いから、鈴を取るとグラリと行く