貴女様あなたさま)” の例文
いえ、別に、貴女様あなたさま身体からだ仔細しさいはござりませぬが、よくそうしたことがあるものにござります。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「だッたの、なんのとおっしゃって、熱海中ひっくりかえるような大事おおごと、今にも十国峠が、崩れて来るか、湯の海になるかという、えらい事でござりました。貴女様あなたさま夫人おくさまは。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……貴女様あなたさまはだ移香うつりが、脈のひびきをお釵から伝へ受けたいのでござります。貴方様あなたさま御血脈おけちみゃく、其が禁厭まじないに成りますので、お手に釵の鳥をばお持ち遊ばされて、はい、はい、はい。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……貴女様あなたさまはだ移香うつりが、脈のひびきをお釵から伝え受けたいのでござります。貴方様の御血脈おけちみゃく、それが禁厭になりますので、お手に釵の鳥をばお持ち遊ばされて、はい、はい、はい。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道者衆どうじゃしゅう充満いっぱいで、足踏あしぶみも出来ません処から、かまちへかけさせ申して、帳場の火鉢を差上げましたような次第で、それから貴女様あなたさまがお泊りのはず、立花が来たと伝えくれい、という事でござりまして。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)