財物ざいもつ)” の例文
定基は其婦人の窮を救うために、種々の自分の財物ざいもつを与え取らせた後不思議に清々すがすがしい好い心持になった。そして遂に愈々いよいよ吾が家を棄てて出た。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
吝嗇りんしょくな人間が生前に隠して置いた財物ざいもつの附近に、夜中徘徊するというのもやはりこのわけです。この人たちは自分の黄金こがねに対して厳重な見張りをしているのです。
笑ふて語る時あらんも知れずよし貧賤に終るとて此の母子おやこの慈愛ありなまじ富貴にして却つて財物ざいもつ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)