貞世さだよ)” の例文
定子の住む同じ土地に帰って来たと思うだけでももう胸はわくわくした。愛子あいこ貞世さだよもどんな恐ろしい期待に震えながら自分の帰るのを待ちわびているだろう。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
黒河、小瀬川及岩国山の下に貞世さだよの道ゆきぶりが引いてある。岩国山の歌が三首ある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今川了俊は貞世さだよという。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
少しばかりある株券と地所じしょとは愛子と貞世さだよとの教育費にあてる名儀で某々が保管する事になった。そんな勝手放題なまねをされるのを葉子は見向きもしないで黙っていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
模様やしま派手はでなのは片端からほどいて丸めて、次の妹の愛子にやるようにと片すみに重ねたが、その中には十三になる末の妹の貞世さだよに着せても似合わしそうな大柄おおがらなものもあった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
とからく言葉を続けたのは貞世さだよだった。葉子は石のように立ちすくんでしまった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)