さい)” の例文
或る者は、さいの如く、或る者は魚の骨に人皮を着せた如く、また或る者はからすに似ている。それが今の人間の顔だった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその側の藪を分けて、さいと象とを合わせたような八、九間もある動物が二本の角を振り立て振り立て野性の鼠を追っかけている。それは確かに恐龍である。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
羊質ようしつにして虎皮こひくさを見てよろこび、さいを見ておののく、其の皮のとらなるを忘るるなり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
悪きことはさいを見ておのの臆病心おくびょうしんにあるのだから、その温順寡慾かよくなる羊質をもちながら、なおとら驍悍勁厲ぎょうかんけいれいなる質を修めたら、すなわち廉毅忠果れんきちゅうかの性格となりてこれにゆる人格はなかろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
高麗焼きの大花瓶、ゴブラン織の大絨毯、長い象牙にさいの角、孔雀くじゃくの羽根に白熊の毛皮、異国の貨幣を一杯に充たした、漆塗りの長方形の箱、宝石を充たした銀製の箱、さまざまの形の古代仏像
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)