諸侯だいみょう)” の例文
諸侯だいみょうなんどというものが、思上った行過ぎな、あの、鷹を、ただ一人じめに自分のものと、つけ上りがしています。貴方はそうは思いませんか。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それで、大火となると、町家の騒ぎはいうまでもないが、諸侯だいみょうの手からも八方から御使番おつかいばんというものが、馬上で、例の火事頭巾ずきんを冠り、凜々りりしい打扮いでたちで押し出しました。
諸侯だいみょうの乗るような轎じゃねえか」
棄轎 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
楽園がくえんと云うのだそうである。諸侯だいみょう別業しもやしきで、一器ひとつ、六方石の、その光沢ひかり水晶にして、天然にしょうの形をしたのがある。石燈籠ほどの台に据えて見事である。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の頃のうした場合の、江戸の将軍家——までもない、諸侯だいみょうの大奥とおもて容体ようだいに比較して見るがい。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……モ、七百円もするんですが、うしろにちょっときずがあります、緋目高一ぴきほど。ほほほ、ですから、ただそれだけで——百円という処を……だわね、……もっとも諸侯だいみょう道具ですって、それを
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西国方さいこくがた諸侯だいみょうだな。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)