証拠あかし)” の例文
旧字:證據
ただ疑の積もりて証拠あかしと凝らん時——ギニヴィアの捕われてくいに焼かるる時——この時を思えばランスロットの夢はいまだ成らず。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ此の文と直江志津の一刀のみは鐘楼の鐘の下に伏せ置き、後日の証拠あかしとし、世の疑ひを解かむ便よすがとせむ心算つもりなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こっちの一羽が、異郷の空から、一通の手紙を持って帰って来て、さながら遠く離れた女の友の思いのように飛んで来るにしても(ああ、これこそ一つの証拠あかし!)——
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
第一の所化 その証拠あかしが立つか。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
下郎げろう。なにを、証拠あかしに」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去れど後れたるは病のため、後れながらも参りたるはまことの病にあらざる証拠あかしよといわば何と答えん。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)