計画もくろみ)” の例文
旧字:計畫
「湖水の石棺を引き上げようというあの乱暴な計画もくろみがどうやらお蔭で止めになったらしい。これだけでも有難い」「女大明神とあがめようぞ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小作人のあるものは、「ひよつとしたら、若旦那の計画もくろみがうまく成功するやうな事になるのではないか。」などと、愚かな心配をしながらさゝやき合つたりした。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
智恵子の来なかつたのは、来なければいと願つた吉野を初め、信吾、静子、さては或る計画もくろみを抱いてゐた富江の各々おのおのに加留多に気をはずませなかつた。其夜は詰らなく過ぎた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
これというめた計画もくろみもなく旅を続けていた。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
が、それなればなお結構、もっともわしとしても今度の旅は、そちに警戒されるような、あらけない計画もくろみも目的も持たぬ。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
最初の計画もくろみ掣肘せいちゅうし——自分自身掣肘し、ああでもあるまいこうでもあるまいかと、躊躇逡巡右顧左眄うこさべん、仏心を出している間に、彼奴らいわば長袖者流、結託なして余を弾劾だんがい
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それがお前をさましたね! (突然)俺の計画もくろみは崩された! (憤然と)暗と血薔薇の一曲が、死に行く人魚の恋歌に、歌い消され弾き消され、よこしまだったわが弦が、お前を誘う音を出すには
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)