観破みやぶ)” の例文
だが、武蔵は彼の秘妙なわざが、何に依って起るかを、戦いのあいだに観破みやぶった。それは二刀流の原理と同じだからであった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう言って助役は、歩きながらこの奇妙な事件の最後の謎——つまり十方舎の親爺が豚を盗んだ動機を彼のその優れた直観力で、どんな風に観破みやぶったかと言う事を、手短かに話し始めたんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
色のせた紺の脚絆きゃはん、陽にけた、皮膚は黒いし、髪は埃にまみれている。誰が、どう見ても、飛脚屋である。江戸の同心と観破みやぶられッこはない。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、あなたが観破みやぶっているとおり、私は、蜂須賀村の仲間と共に、この岐阜へ流れて来た一人にはちがいありませんが、しかし、心はあの衆と同体ではありません。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)