西風にし)” の例文
どうも今朝五時頃に裾野に靡いていた雲で見ると私は東南風ならいらしいと見たがという人が居ると、イヤ、あれは確かに西風にし
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
「でも、親分、首っ縊りのブラ下がったのはちょうど橋の真ん中ですぜ。東風ひがしが吹けば死骸のすそ武蔵むさしへ入るし、西風にしが吹けばびんのほつれ毛が、下総しもうさへなびく」
韃靼海西風にし吹きあげて立つ雨の色まつしろし潮さゐのうへ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やまとに 西風にし吹きげて
この西伊豆の海岸は、西風にしの吹き出す秋口から冬にかけてよく荒れがちであるのだそうだが、終に今日もその例に漏れぬ事となったのである。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
西風にし吹きて春も浅きか立つ波の潮見さやけみ石廊崎見ゆ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日毎に微かな西風にしが吹いて、沖一帯にしら/″\と小さな波が立つてゐる。
岬の端 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)