西域せいいき)” の例文
宝幢寺にゐる坊主と云ふのは、西域せいいきから来た蛮僧である。これが、医療も加へれば、房術も施すと云ふので、この界隈では、評判が高い。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いや女の白い皮膚とか眸など、はるか西域せいいきを越えて買われて来た白色人系らしい女奴隷めどれいの血がはっきりしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私のお父様が官途にいて、西域せいいきの方へいくことになって、明日お母さんをれて出発するのですから、それまでに好いおりを見て、お父さんとお母さんの許しを受けて
阿霞 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
案ずるに、西域せいいきに刀を呑み、火を呑むたぐいの幻術を善くする者あることは、前漢時代の記録にも見えている。これも恐らくそれらの遺術を相伝したもので、仏氏の正法しょうほうではない。
林子平と同時に、本多利明ほんだとしあきなるものあり、『西域せいいき物語』をあらわして曰く(寛政十年)
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
白鉄余はくてつよ延州えんしゅう胡人こじん西域せいいきの人)である。彼は邪道をもって諸人を惑わしていたが、深山の柏の樹の下にあかがねの仏像を埋め、その後数年、そこに草が生えたのを見すまして、土地の人びとをあざむいた。