衣裾もすそ)” の例文
冬枯れ野辺を吹きすさむ風蕭〻せう/\衣裾もすそにあたり、落葉は辿る径を埋めて踏む足ごとにかさこそと、小語さゝやくごとき声を発する中を踽〻然くゝぜんとして歩む西行。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
尊き兄を溺らせしかと兄弟共に慚ぢ悲みて、弟の袂を兄は絞り兄の衣裾もすそを弟は絞りて互ひにいたはり慰めけるが、彼橋をまた引き来りて洲の後面うしろなる流れに打ちかけ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ああかかるもの取らんとて可愛き弟を悩ませしか、たっとき兄をおぼらせしかと兄弟ともにじ悲しみて、弟のたもとを兄は絞り兄の衣裾もすそを弟は絞りて互いにいたわり慰めけるが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)