行成こうぜい)” の例文
ことに行成こうぜい品隲ひんしつし、世尊寺をあげつらうほどの娘ですから、女にしてこれだけの文字が書けるということ、そのことにあるねたみを感じ
「すけまさ」と云うのは二男の佐理のことであるが、これはあの行成こうぜい道風とうふうと並び称せられた能書家の佐理とは違う。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
空海くうかい道風どうふう佐理さり行成こうぜい——私は彼等のいる所に、いつも人知れず行っていました。彼等が手本にしていたのは、皆支那人の墨蹟ぼくせきです。しかし彼等の筆先ふでさきからは、次第に新しい美が生れました。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
手紙を書き出しているのです——その文言を調べてみると——お銀様は行成こうぜいを学んで手をよく書き、文章も格に入っているのだが、便宜上、その文言を現代的に読んで行ってみると
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
日和ひよりのいい時、気分の晴れた時には、日当りのいい書斎の、窓の明るい、机のきれいな上に、佐理さり行成こうぜいだの、弘法大師だの、或いはまた羲之ぎし献之けんしだのを師友としているところを見れば
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)