蛇矛だぼう)” の例文
トロイの城壁を三匝さんそうしたとか、えんぴと張飛が長坂橋ちょうはんきょう丈八じょうはち蛇矛だぼうよこたえて、曹操そうそうの軍百万人をにらめ返したとか大袈裟おおげさな事ばかり連想する。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二番手にいた林冲りんちゅうはそれを見るなり惚れ惚れした。「あの馬を人手には」と思ったのだろう。彼が得意とする丈八の蛇矛だぼうが馬首ひくめて進んで行ったかと見るまに
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まずひつを古今に求むれば、長坂橋頭蛇矛だぼうよこたえたる張飛の一喝に近かるべし。
北京日記抄 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あるいは輪をなし、あるいは波を描く。——林冲りんちゅうもいくたびとなく蛇矛だぼうをからめ取られんとした。しかし、しゃくにすれば、敵の蛇矛も息つくひまもないものだった。相互、炎の息となっている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
林冲の打物は、丈八の蛇矛だぼうであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)