虹彩こうさい)” の例文
虹彩こうさいを検する時、赤と青と黄との間に無限数の間色を発見するのと同一だ。赤青黄は元来白によって統一さるべき仮象であるからである。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
白眼の表面は、灰色の斑点はんてんで、殆どおおい尽され、黒目もそこひの様に溷濁こんだくして、虹彩こうさいがモヤモヤとぼやけて見えた。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
虹彩こうさいの内に優しい光りをたゝへてゐる茶色の目と、それをかこんでゐる長いまつ毛が描いたやうに揃つてゐることが、彼女の大きなひたひの白さを殊更きは立たせてゐた。
その下にギョロギョロ光っているたらいほどの眼、茶色がかった虹彩こうさいから、白目の中の血管の川までも、ちょうどソフトフォーカスの写真のように、ぼんやりしていながら
鏡地獄 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もう両眼の虹彩こうさい上瞼うわまぶたに隠れてしまっていた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)