藁椅子わらいす)” の例文
家具としてはただ、一脚の藁椅子わらいす、こわれかかった一個のテーブル、数個の欠けた古壜ふるびん、それから両すみにある名状すべからざる二つの寝床。
そうしてめいめい他の人達のように十字は切らないで、一人ずつ、内陣の方へ向って丁寧に頭を下げながら、まだすこし空いていた、うしろの方の藁椅子わらいすの上に順々に腰を下ろした。
木の十字架 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
綴紐とじひものついた肱掛ひじか椅子いすが並びとばりがかかってる大きな客間よりも藁椅子わらいすをそなえた小さな小屋の方が好ましかった。
いつも一個の藁椅子わらいすがついてるそのテーブルは、規定の品である。いずれの分署にも備えてある。
祈祷所には祈念台の藁椅子わらいすが二つと、寝室には同じく藁をつめた肱掛椅子ひじかけいすが一つあった。
この冬の座敷には、食堂と同じように、四角な白木の卓と四つの藁椅子わらいすとのほか何の道具もなかった。食堂の方はそれになお顔料で淡紅色に塗られた古い戸棚とだなが一つ備えてあった。
フィーユ・デュ・カルヴェール街の肱掛ひじか椅子いすはオンム・アルメ街の藁椅子わらいすよりもふたりの差し向かいに好都合だったので、自然とコゼットの方からやって来る習慣になったのである。
そこには畳み寝台の上に敷いた一枚の蒲団ふとん、白木のテーブル、二つの藁椅子わらいす、土器の水差し、棚の上に並べた数冊の書物、片すみには彼の大事なかばん、などがあるきりで、かつて火はなかった。