薪炭まきすみ)” の例文
瓦斯なるために薪炭まきすみの置場を要せず、烟突えんとつを要せず、鍋釜の底のすすに汚れるうれいもなく、急を要する時もマッチ一本にて自在の火力をべし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
薪炭まきすみ等に至るまで残らず他村より買い入れ取り用い候儀につき、至って助成薄く、毎年借財相かさみ、難渋罷りあり候。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
与平はうるさく「もっと炉の側へ寄れ」とすすめるが、栄二は戸納の前から動こうとはしなかった。役所から支給される薪炭まきすみだけでは不足なので、あとは人足たちが銭を出しあって買いたしている。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
気長きなが金子かねにして、やがて船一そう古物ふるものを買い込んで、海から薪炭まきすみの荷を廻し、追々おいおい材木へ手を出しかけ、船の数も七艘までに仕上げた時、すっぱりと売物に出して、さて、地面を買う、店を拡げる
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)