蕗味噌ふきみそ)” の例文
南瓜とうなすは黄に煮え砕けてべとべとになりましたが、奥様の好物、早速の御茶菓子代り、小皿に盛りまして、蕗味噌ふきみそと一緒に御部屋へ持って参りました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
掻きさがせば、もうきっと、青い青いふきのとうが、芽をふいているに違いございませぬ。それをって蕗味噌ふきみそにしてさしあげたら如何なものでございましょう
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先日八百屋やおやふきとうを持って来ましたから一度に沢山蕗味噌ふきみそを拵えておきました。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
山家のならわしとして冬至には蕗味噌ふきみそ南瓜とうなすを祝います。幸い秋から残して置いた縮緬皺ちりめんじわのが有ましたから、それを流許ながしもとで用意しておりますと、花火の上る音がポンポン聞える。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
箸の先にかけた蕗味噌ふきみそを見、ちょっと、前歯で味わうように噛みしめて
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蕗味噌ふきみそ 春 第四十一 田毎豆腐たごとどうふ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
冬至には、三吉の家でも南瓜かぼちゃ蕗味噌ふきみそを祝うことにした。蕗のとうはお雪が裏の方へ行って、桑畑の間を流れる水のほとりから頭を持上げたやつを摘取って来た。復た雪の来そうな空模様であった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
梅ぼし一ツ、蕗味噌ふきみそ、それに一椀の汁、一皿の干魚。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)