蔵人頭くろうどのかみ)” の例文
来年は必ず四位しいにおなりになるでしょう。この次の蔵人頭くろうどのかみはまちがいなくあの方にあたるとみかどが御自身でお約束になったんですよ。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蔵人頭くろうどのかみから右大弁うだいべんに昇り、今も参議という現職にある朝臣あそんであるが、そこでこの貴公子はさかんに六条柳町へ通ってくる。この世界にいる時だけ腹の立つのを忘れるというのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蔵人頭くろうどのかみに進み、位は正四位にのぼり、文明九年二十三歳の時の暮にはようよう参議となり、公卿補任に載る身分となったので、実隆の公生活はまずこの辺からしてようやく多忙になった。
その日は自身も蔵人頭くろうどのかみとして公用の多い日であったから至極まじめな顔を作っていた。しかしどうかした拍子に目が合うと互いにほほえまれるのである。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
とう大納言、東宮大夫たゆうなどという大臣の兄弟たちもいたし、蔵人頭くろうどのかみ、五位の蔵人、近衛このえの中少将、弁官などは皆一族で、はなやかな十幾人が内大臣を取り巻いていた。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)