蓄膿症ちくのうしょう)” の例文
この暮から正月にかけて、私は扁桃腺へんとうせんの除去と、蓄膿症ちくのうしょうの手術とのために、K病院へ入院した。二十年来の懸案を片づけるためである。
分り易い例で云えば、歯根膜炎の手術、蓄膿症ちくのうしょうの手術の如き、日常茶飯事の様に骨を削ることを実行しているではないか。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかもこの頃蓄膿症ちくのうしょうのために鼻のつまったおいの声である。僕はしぶしぶ立ち上りながら、老人の前へ手を伸ばした。
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
サクラの花を見に行くのは、蓄膿症ちくのうしょうをなおしに行くのでは、無いでしょう。私は、こんなことをさえ考えます。
正直ノオト (新字新仮名) / 太宰治(著)
当時旧藩主が不治ふじ蓄膿症ちくのうしょうに罹っていられたので、私は早速鼻科の研究に独逸へ参りました。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
莫迦ばかをいえ。僕があの女に会ったのは、大学病院へやって来た時に、若槻にもちょいと頼まれていたから、便宜を図ってやっただけなんだ。蓄膿症ちくのうしょうか何かの手術だったが、——」
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これは蓄膿症ちくのうしょうではなかろうか、と本気に疑ったほどであった。
如是我聞 (新字新仮名) / 太宰治(著)
僕はふと彼女の鼻に蓄膿症ちくのうしょうのあることを感じ、何か頬笑ほほえまずにはいられなかった。
歯車 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
蓄膿症ちくのうしょうじゃないかな?
渡り鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)