蒔直まきなお)” の例文
「五年が十年でもいい、おらあ立派に年貢を納めて綺麗きれいな体になってくるんだ、おらあこれから新規蒔直まきなおしに始める気だ、あばよ」
暗がりの乙松 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
新規蒔直まきなおしには年を取りすぎた嘆きがあり、準備をするには何から手をつけていいか、今さら見当もつきかねるのだったが、何らかの補足はできそうに思えた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
きれいに晴れわたった、しんとした朝、目がさめて、さあこれから新規蒔直まきなおしだ、過ぎたことはいっさい忘れた、煙みたいに消えてしまった、と思うことができたらなあ。
理想に邁進する事が出来る筈だ。いつも明日のパンのことを心配しながらキリストについて歩いていた弟子達だって、ついには聖者になれたのだ。僕の努力も、これから全然、新規蒔直まきなおしだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それは生涯をあらたに蒔直まきなおそうとする目的をもった渡航であった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「新規蒔直まきなおしだ。何もかも新しく組立てなきゃ」
造化を新規蒔直まきなおしにして見ようと云う
手八てはち蒔直まきなおしで夜泊よどまりの、昼流連ひるながし
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ここは縁起がわるいから、私たちはまたどこかで新規蒔直まきなおしです」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)