うきぐさ)” の例文
今までは全く他人本位で、根のないうきぐさのように、そこいらをでたらめにただよっていたから、駄目だめであったという事にようやく気がついたのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれど結局は、流されたうきぐさがその漂着した池に落ちつき、白い根をおろすやうに、彼もやはりこの灰色の病者の世界に根をおろし、日々を生きて行かねばならなかつた。
月日 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
『又と、何日いつこれだけの顔が会えるか、浪人すればうきぐさじゃ、このまま別れるのもさびしいて』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
墓は皆暗かった、土地は高いのに、じめじめと、落葉も払わず、こけうきぐさのようであった。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うきぐさの花からのらんあの雲へ 一茶
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
うきぐさ温泉の湧く岸にり茂る
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)