菱波ひしなみ)” の例文
復一は、平沙の鼻のなぎさ近くにボートを進ませたが、そこは夕方にしては珍らしく風当りが激しくて海のように菱波ひしなみが立ち、はすの魚がしきりに飛んだ。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
空は暗くくもって、囂々ごうごうと風がいていた。水の上には菱波ひしなみが立っていた。いつもは、もやの立ちこめているようなあししげみも、からりとかわいて風に吹きれていた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)