荷縄になわ)” の例文
旧字:荷繩
菊枝は、うまやに投げ込む雑草を、いつもの倍も背負って帰って来た。重かった。荷縄になわは、肩にただれるような痛さで喰い込んだ。腰はひりひりと痛かった。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
それを追って「どんじき」の葭簀の陰から出て行った牢人は、いきなり刀を抜いて、天秤の荷縄になわを払った。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また天井からは蓑だとか背中当せなあてだとか荷縄になわだとか、様々なものが吊されているのを見られるでしょう。中でも面白いのはこの地方の背中当で土地では「ばんどり」と呼びます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
菊枝は身体を投げ出したまま、背負っている草の上に、ぐったりとなって、荷縄になわも解かずに、向こう鉢巻きにしていた手拭いを取って顔や襟首の汗を拭った。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)