草生くさはえ)” の例文
それからみちを折曲って、草生くさはえの空地を抜けて、まばら垣について廻って、停車場ステエション方角の、新開と云った場末らしい、青田も見えて藁屋わらやのある。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真向うは空地だし、町中は原のなごりをそのまま、窪地のあちこちには、草生くさはえがむらむらと、尾花は見えぬが、猫じゃらしが、小糠虫こぬかむしを、穂でじゃれて、逃水ならぬ日脚ひあしながれが暖くよどんでいる。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)