草履取ぞうりと)” の例文
手明きの若党、鎗持やりもちの中間ちゅうげん草履取ぞうりとり、具足持ぐそくもち、高張持たかはりもちなぞ、なかなかものものしい。それにこの物頭ものがしらが馬の口を取る二人のうまやの者も随行して来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
草履取ぞうりとりをしておる時には、御主君のお草履をつかむ仕事を精いっぱいに勤め、士分になれば士分の仕事を精いっぱいに、一城のあるじとなれば、一城の主を精いっぱいやりおるだけじゃ。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
喜三郎きさぶろう旗本はたもと能勢惣右衛門のせそうえもん年期切ねんきぎりの草履取ぞうりとりにはいった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
典膳はいつも心配そうに見較べながらついてあるいていた。彼も、弟子ではあるが、つねに荷持のお供であり、相弟子というよりは、草履取ぞうりとりか若党わかとうのごとく、その兄弟子にこき使われていた。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)