茶飯ちゃめし)” の例文
「じゃ、親父さんを探したらいいでしょう。またおまりの茶飯ちゃめし屋へでも行って、勝手な大たくらを吹いているに違いない」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二月に入ればよい日を見て種井浚いをやる。その夜は茶飯ちゃめしぐらいこしらえて酒の一升も買うときまってる。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
こういう奴が出るから茶飯ちゃめしあんかけ豆腐や夜鷹蕎麦よたかそばひまになる、一つ張りとばしてやろうと、廿人力の拳骨を固めてうしろへ下ろうとする蟠龍軒の横面よこずっぽうをポカーリッと殴ると、痛いの痛くないの
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「旦那、茶飯ちゃめしが参りましたから、ひとつ腹をこしらえて参りとうございます」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やがて日のくれるまで尋ねあぐんで、——夜あかしの茶飯ちゃめしあんかけの出る時刻——神楽坂下かぐらさかした、あの牛込見附で、顔馴染だつた茶飯屋に聞くと、其処そこで……覚束ないながら一寸心当りが着いたのである。
夜釣 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
奈良茶飯ちゃめしか何かへ寄って、まだ少し早い支度をすましてから、観音堂を一周りして、さて、帰ろうかと、雷門から並木の方へブラブラと出てくると、湯女のお勘が
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)