茶臼山ちゃうすやま)” の例文
夫より外に東京のこの旅館へてて手紙を寄越す人はないはずだがと、不思議に感じたが、差出人は「大阪市天王寺区茶臼山ちゃうすやま町二三奥畑啓三郎」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし、東南を望めば、天王寺、茶臼山ちゃうすやま高津こうづの宮、下寺町しもてらまちの寺々に至るまで、坦々たんたんたる徳川時代の家並である。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
すげの中からは葦切よしきりの声! と、鉄砲の音がした。猟師が朝駈けをしたのだろう。夏沢岳、天狗岳、中山、丸山、茶臼山ちゃうすやま縞枯岳しまがれだけに横ヶ岳、東の空にそびえている。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで羽柴秀長の迎えを見、指揮をさずけ終るや、また山を降って黒田村を渡り、観音坂を経て、余吾の東方、茶臼山ちゃうすやまへかかって、初めて床几しょうぎ代りの、挟み箱に腰をおろした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは更級郡の一部、信里村のぶさとむらの一丘。茶臼山ちゃうすやまと土地の者の呼んでいる高地である。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉の進撃と、ここの動きとを、時間的に対比してみると、玄蕃允が陣払いを始めていた頃、ちょうど秀吉は、黒田村から茶臼山ちゃうすやまへのぼり、挟み箱を床几として、ひと休みしている時分かと思われる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)