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茫々
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ばうばう
ふりがな文庫
“
茫々
(
ばうばう
)” の例文
混沌
(
こんとん
)
といはうか、
渺漠
(
べうばく
)
といはうか、一目
茫々
(
ばうばう
)
たる国土を見おろしたが、その時にも到頭雁が飛ばなかつた。
雷談義
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
我々は唯
茫々
(
ばうばう
)
とした人生の中に
佇
(
たたず
)
んでゐる。我々に平和を与へるものは眠りの外にある
訣
(
わけ
)
はない。あらゆる自然主義者は外科医のやうに残酷にこの事実を解剖してゐる。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんな時間なのかと、ゆつくり起きて、富岡は
暫
(
しばら
)
くベッドで煙草を吸つた。づきづきと頭が痛んだ。何をしたらいゝのか、一向に、躯は動きたがらない。すべてが
茫々
(
ばうばう
)
としてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
茫々
(
ばうばう
)
とした枯野の暮色が、
一痕
(
いつこん
)
の月の光もなく、夢のやうに漂つてでもゐたのかも知れない。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
陰晴
(
いんせい
)
定りなき感情の悲天の下に、或は泣き、或は笑ひて、
茫々
(
ばうばう
)
数年の年月を
閲
(
けみ
)
せしが、予の二十一歳に達するや、予が父は突然予に命じて、遠く家業たる医学を英京
竜動
(
ロンドン
)
に学ばしめぬ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
僕の意識してゐない部分は、——僕の魂のアフリカはどこまでも
茫々
(
ばうばう
)
と広がつてゐる。僕はそれを恐れてゐるのだ。光の中には怪物は
棲
(
す
)
まない。しかし無辺の闇の中には何かがまだ眠つてゐる。
闇中問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
茫
漢検1級
部首:⾋
9画
々
3画
“茫々”で始まる語句
茫々然
茫々乎
茫々寂々
茫々模糊
茫々漠々
茫々莫々
茫々蒼々