苦楚くそ)” の例文
予の所見に従へば、人類は百般の無用の事に百般の苦楚くそあぢはつてゐる。……予はすでに老人である。生命の太陽も沈まうとしてゐる。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何等の記録も残っていないが、しかもこの十年ばかりの間こそ、翁が芸道保存のために最惨澹たる苦楚くそめた時代で、同時に翁の真面目が最もよく発揮された時代であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
ほんとにあの戦争の苦楚くそめた中年以上に多い。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)