良人あんた)” の例文
「いえな、内じゃ芸妓屋げいこやさんへ出前ばかりがおもですから、ごらんの通りゆっくりじゃえな。ほんにお師匠さんいお声ですな。なあ、良人あんた。」と、横顔で亭主を流眄ながしめ
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんまに良人あんた彼女あれにも困り切りますがな。——かね御身おまえはあちっておいで。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
妻「おや良人あんたマアこんなに遅くなる訳はねえが、何処どけきやんした」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そないに急に気になるなら、良人あんた、ちゃと行って取ってい。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妻「へえ、此の内儀さんと一緒に銭屋へ逗留していて、へえ、そうとも知らねえで、うちじゃア案じていたのに、銭屋へ泊って此様こんな美くしい内儀さんと五日も逗留してたのしんでいたんでがんすか、良人あんたマア幾歳いくつになるだか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)