船梁ふなばり)” の例文
「弦押しの上部、ここでございます」「では、ここにある一文字は?」「船の眼目、すなわち船梁ふなばり
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吉之丞は渡海船とかいせんを扱っていたので、さよ船の構造を知っている。和船ならいきなり棚板になるところに船梁ふなばりが通っているため、ふなばた外板そといた内張うちばりの間に隙間があって、それが船底につづいている。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
文久二年四月十七日、伊豆国賀茂郡松崎村いずのくにかものこおりまつざきむらの鰹船が焼津やいづの沖で初鰹を釣り、船梁ふなばりもたわむほどになって相模灘さがみなだを突っ走る。八挺櫓はっちょうろで飛ばしてくる江戸の鰹買船かつおかいぶねに三崎の沖あたりで行きあうつもり。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)