舶載物はくさいもの)” の例文
舶載物はくさいものであろう、幅二尺七、八寸、長さ五尺ほどな玻璃ギヤマンの鏡——、それが、行きづまりの壁に、戸のようにはめこんであったのだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも腐儒ふじゅ因循いんじゅんをわらい、鎖港論さこうろんを空吹く風と聞き流し、率先そっせんして西洋事情の紹介や、医書、究理書の翻刻に力を入れ、長崎や横浜に仕入れの出店を持って手びろく舶載物はくさいものを輸入する
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こういけや大名屋敷へ取り入って、花柳界へ源内櫛げんないぐし流行はやらせてみせたり、物産会をやり舶載物はくさいものの売りひろめを試みたりなどして、おそろしい金持になった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐船からふねが帆ばしらをならべ、街には、舶載物はくさいものを売る店舗みせや、武具をひさぐ商人あきんどが軒をならべ、裏町には、京やさかいから移住して来た工匠たくみたちが、糸を染め、やじりを鍛え、陶器すえものを焼き
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そちの琵琶は唐作からづくりのように見ゆるが、やはり舶載物はくさいものか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)