舟尾とも)” の例文
とたんに左右から二つの岩が轟然と憤怒いかりの叫びを上げ、動物いきもののように衝突ぶつかって来たが、わずかに舟尾ともに触れたばかりで舟も人も無事であった。
率八と呼ばれた舟尾ともの男が、櫓をしなわせてギッギッと漕ぎ寄せて行ったかと思うと、近づく間もなく、舟べりにひじをついていた黒頭巾の男が
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう言いながら、とまを伝わって舟べりを追い廻すと、お蝶も同じように逃げ廻って、彼がみよしに来れば舟尾ともの方へ、舟尾ともへ来れば舳の方へ、鼬鼠いたちごッこにかわしていました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、がッかりしたように、櫓の力を抜いたのは、舟尾ともに立っている率八という男です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)