臥薪甞胆がしんしょうたん)” の例文
ここまで読みかけると、万吉の胸が処女のようにおどった。彼にも足かけ十年臥薪甞胆がしんしょうたんの事件がある。それへ一曙光しょこうを見出したのだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時下秋冷のこうそろ処貴家益々御隆盛の段奉賀上候がしあげたてまつりそろのぶれば本校儀も御承知の通り一昨々年以来二三野心家の為めに妨げられ一時其極に達し候得共そうらえども是れ皆不肖針作ふしょうしんさくが足らざる所に起因すと存じ深くみずかいましむる所あり臥薪甞胆がしんしょうたん其の苦辛くしんの結果ようやここに独力以て我が理想に適するだけの校舎新築費を
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでは、きょうまでの臥薪甞胆がしんしょうたん伊那丸君いなまるぎみのおこころざし、すべては水泡すいほうとなり、またの笑われぐさにすぎぬものとなる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)