臚列ろれつ)” の例文
それらの人名をここに臚列ろれつしたところで混雑をまねくばかりでありますから、それらは一切後になって項を改めてお話することにいたします。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ことに外生活だけを臚列ろれつするに甘んじないで、幾分か内生活に立ち入つて書くことになると、過去の記憶は比較的大きい影響を其人々の上に加へなくてはならない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
閑花素琴かんかそきんの春をつかさどる人の歌めくあめしたに住まずして、半滴はんてき気韻きいんだに帯びざる野卑の言語を臚列ろれつするとき、毫端ごうたんに泥を含んで双手に筆をめぐらしがたき心地がする。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もしそれ松陰の罪案に到りては、両者の関係を臚列ろれつし、当時の事情を曲尽きょくじんして、さらに分明なるものあり。吾人ごじんはその冗長なるの故を以て、これを掲ぐるを禁ずるあたわず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いかなる能辯能文の士なりとも、その描寫遺憾なきことを得ざらん。そが上に我が臚列ろれつする所の許多あまたの小景は、われ自らこれを前後左右に排置して寄木の如くならしむるに由なし。