腰弁こしべん)” の例文
旧字:腰辯
クライブは不良少年で親ももてあました、それでインドへ追いやられて会社の腰弁こしべんになってるうちに自分の手腕をふるってついにインドを
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「私はこの通り腰弁こしべんで、大した事は出来ませんが、お金ですむ事なら、八所借やところがりをしても間に合せましょう——そんな事ではありませんか?」
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「おれみたような腰弁こしべんは、殺されちゃ厭だが、伊藤さんみたような人は、哈爾賓ハルピンへ行って殺される方がいいんだよ」と宗助が始めて調子づいた口をいた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「つく/″\生きてるのが厭になつちまひました。もう/\孫子まごこの代まで腰弁こしべんなざあ真つ平ですよ。」
親代々家禄で衣食した士族の官吏の家では官吏を最上の階級とし、官吏と名が附けば腰弁こしべんでも一廉いつかどの身分があるように思っていたから、両親初め周囲のものは皆二葉亭の仕官を希望していた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「いや、おそれいります。三百石はむかしの話で、いまは腰弁こしべんですよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
其二階に来て住まふ人は大概夫婦暮しで、若い夫婦もあれば老人夫婦もあり、商売人らしいのもあれば腰弁こしべんらしいのもあつた。僅か六畳か八畳の一間と思はれるのに、割合大勢の人が住まつてゐる。
発行所の庭木 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
これはただの腰弁こしべんにはちょっと手痛い金額です。
覆面の舞踏者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)