肋骨ろくこつ)” の例文
飴色あめいろ暗紫色あんししよくをした肋骨ろくこつと手足の骨とが左右に一けん程の高さでぎつしりと積まれ、その横へ幾列にか目鼻のうつろに成つた髑髏どくろが掛けられて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
逍遙子はまた世の批評家が二千餘年前に死せし人の肋骨ろくこつを息杖にして、アリストテレエスなどが言を引用ゐるを笑ひき。こは眞の卓見なり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
お盆は私が持つとふるへて、水はコップからこぼれた。心臟は強くせはしく私の肋骨ろくこつをうつた。メァリーは私の爲めにドアを開けて、私の背後を閉めた。
そして、そこに並べられたのはジッドといふ作家の映像ではなくて、たゞの動物的な肋骨ろくこつの陰画であつた。肋骨は枯木のやうにしつかりと枝を張つてゐた。エルアフイ夫人は思はず顔をそむけた。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
痩せてほそれる肋骨ろくこつ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
何だかかう自分の左の肋骨ろくこつの下の何處かに絃があつて、しつかりと、解けないやうにあなたのその小さな體の同じ場所にある絃に結び付けられてゐるやうなのです。