老女ろうによ)” の例文
知らず、その老女ろうによは何者、狂か、あらざるか、合力ごうりよくか、物売か、はたあるじ知人しりびとか、正体のあらはるべき時はかかるうちにも一分時毎にちかづくなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
数日前すじつぜんより鰐淵わにぶちが家は燈点あかしともる頃を期して、何処いづこより来るとも知らぬ一人の老女ろうによとはるるが例となりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又一方には貸倒かしだふれの損耗あるを思へば、所詮しよせんたふし、仆さるるはあきなひの習と、お峯はおのづかこころを強うして、この老女ろうによくるひを発せしを、夫のせるわざとはつゆも思ひよするにあらざりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)