“罹(か)” の例文
そのチブスに罹(か)かった二人の水夫というのは、船長が最近に、新嘉坡(シンガポール)で拾い上げて、水夫長に押し付けたものであった。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼が老後の重病に罹(か)かって、しょせん生きられないと自分でも覚悟した時に、はじめて白旗山の秘密を明かした。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼はわたしのことを聞いたので、下士は私の快(よ)くないということを話して、たぶん日射病か何かに罹(か)かったのであろうと言うと、彼は悩ましげに見えたそうです。
「今は冬だぜ。海豚が罹(か)かるものか。鮫(さめ)だつたかも知れない。それとも浮標か。分かりやあしない。」
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
今から二年半以前に、ジョン・ヒンクマンという人は、大病に罹(か)かってこの部屋に寝ていたのですが、一時は気が遠くなって、もう本当に死んだのだろうと思われたのです。
「ハハハハともかくもか。君がともかくもと云い出すと、つい釣り込まれるよ。さっきもともかくもで、とうとう饂飩(うどん)を食っちまった。これで赤痢(せきり)にでも罹(か)かれば全くともかくもの御蔭(おかげ)だ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「マラリアにでも罹(か)かったんですか。」
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)