繩梯子なわばしご)” の例文
新字:縄梯子
捕虜をとらえていた悪漢はその手を離した。またたく間に、繩梯子なわばしごは窓の外におろされ、二つの鉄のかぎでしっかと窓縁に止められた。
錠銀がこぼれださないように腹巻はらまきをしめなおし、壺は風呂敷に包んで首に括りつけ、繩梯子なわばしごをつたって甲板へ降りて行った。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こういって、指さす所を見ると、そこは足がかりもない絶壁で、頼りとするのは、一すじの繩梯子なわばしごが下がっているばかり。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近づくに従って、その風船から地上に垂れている繩梯子なわばしごの一方の綱が切れて、梯子の形を失い、残る一本の綱でやっと風船をつなぎとめている事が分った。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
二人は外へ出ると、すばやく第一の繩梯子なわばしごを登り、そこからすぐ右へ、叢林そうりんの中をぬけてゆき、(第二の繩梯子は登らずに)急斜面をまっすぐに、加波山神社の境内へと出た。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その時マリユスは、今まで何かわからなかったその繩みたいなものは、実は木の桟と引っかけるための二つのかぎとがついてるきわめて巧みにできた繩梯子なわばしごだということがわかった。
カランと堂の中でひびいたのは、木桟もくさん繩梯子なわばしごでも空洞からどうろしたような木の音です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
繩梯子なわばしごでいつでも昇れる大軽気球
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「それに、繩梯子なわばしごを巻き上げたりなどしやがって、どうも気振けぶりがに落ちねえ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
繩梯子なわばしごがつけられるや、テナルディエは叫んだ。