縺毛もつれげ)” の例文
縺毛もつれげ一条ひとすじもない黒髪は、取ってさばいたかと思うばかり、やせぎすな、透通るような頬を包んで、正面まともに顔を合せた、襟はさぞ、雪なす咽喉のどが細かった。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女の涼しい目は眠られないふた晩に醜くがり、かわいいえくぼの宿った豊頬ほうきょうはげっそりとせて、耳の上から崩れ落ちたひと握りの縺毛もつれげが、そのとが頬骨ほおぼねにはらりとかかっていた。
五階の窓:04 合作の四 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
縺毛もつれげがはらはらとかかって島田髷しまだが見えた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)