緊褌きんこん)” の例文
恋と義にはさまれて心の拠りどころなく苦しんでいた栄三郎に緊褌きんこん一番、一大奮励をうながしたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
西洋人の真似して、猿股を着けおれるなるべし、猿股にては、緊褌きんこん一番ということも出来ず。
層雲峡より大雪山へ (新字新仮名) / 大町桂月(著)
そして、其等のわだちをふまないために、今こそ我々は緊褌きんこん一番すべきであると。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
僕達四年生としては、うっかりしていればこの通りという実物教訓に行き当って、緊褌きんこん一番、先輩のように課外準備を苦しがってチョクチョクけませんと、担任の先生に誓う外はなかった。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「お前は、僕なんかにくらべると問題にならないほど、うまいんだ。でも、あしたは本職の役者の前でやるのだから、ちょっと今夜は酷評して緊褌きんこん一番をうながしてみたんだがね。なに、上出来だよ。」
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)