まつ)” の例文
それを聽いてからお道には暗い陰がまつはつて離れなかつた。どんなわざはひが降りかゝつて來やうとも自分だけは前世の約束とも諦めよう。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
その年ごろや風俗がこのあいだの晩、両国の橋番小屋の外にうろついていた男によく似ているらしいので、半七はいよいよ彼とお鉄とのあいだに何かの因縁のまつわっていることを確かめた。
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それには経済上の事情もまつわっていたのであるが、満十七歳二カ月にして新聞社に籍を置いたという事は、いろいろの意味においてわたしの不幸であった。今に至ってその感がいよいよ深い。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)