素裸足すはだし)” の例文
足袋たびもゆるされずに素裸足すはだしでいなければならなかったことなどを聞かれて、ふしぎな夢もの語りのようにも思われたようでした。
身は、やぶれごろもに、なわおび一つ。そして、くつよりは丈夫らしい素裸足すはだしで、ぬっと、大地からえているというかたちである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは素裸足すはだしに大黒傘を下げた、まだ年の若い女だつた。彼女は殆ど衝動的に、もと来た雨の中へ飛び出さうとした。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その中を、首魁しゅかいの浄憲法師が、素裸足すはだしのまま、院の内から縄がらめになって突き出されてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露を踏みながら、盛綱は、自分の素裸足すはだしな足を見た。百姓と変りはない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無礼な視線を二人に浴びせかけて、群がっている雑多な人々は、ちょっと意味のめない方言で、口から口へ、何かガヤガヤと云い合っていたが、そのうちに河童かっぱのような頭をした素裸足すはだしの少年が
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)