納戸頭なんどがしら)” の例文
とその黄昏に福知山の納戸頭なんどがしら正木まさき作左衛門の玄関へ、こうわめきこんだ男は、娘の千浪ちなみの供をして生田の競馬へ行った仲間ちゅうげんの五平であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天保十二年五月簡堂は水野越前守忠邦が革政の際総毛の代官より抜擢ばってきせられて勘定吟味役兼納戸頭なんどがしらとなり、天保十四年六月但馬国たじまのくに生野いくの銀山の視察に出張し、同年九月帰府の後
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
納戸頭なんどがしらふち金右衛門という老人が待兼ねておったように大屏風の蔭から立現たちあらわれた。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
法親王および諸僧正そうじょうを京都より迎え、江戸にある老中はもとより、寺社奉行じしゃぶぎょう、大目付、勘定奉行から納戸頭なんどがしらまでも参列させ、天台宗徒てんだいしゅうとをあつめて万部の仏経を読ませ、諸人にその盛典をみせ
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「危うきところをご助勢下され、何と御礼おんれいの申しようもござらぬ。拙者は納戸頭なんどがしら正木作左衛門でござる」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)