紋章もんしょう)” の例文
その当日は数十けんの「筋目の者」たちは十六のきくのご紋章もんしょうの附いたかみしもを着ることを許され、知事代理や郡長等の上席にくのである。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼はそのことをむしろ得意に感じていたと見えて、蠍が背中を曲げて敵に飛びかかろうとしている醜い姿を、彼自身の紋章もんしょうとして使用したのだ。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
王子と王女の紋章もんしょうが、星のようにひかってついていました。ぎょしゃや、べっとうや、おさきばらいが——そうです、おさきばらいまでが——金のかんむりをかぶってならんでいました。
その馬車には、王子と王女の紋章もんしょうが、お星さまのようにキラキラ光っていました。
祖先伝来の丹塗にぬりの長持ながもちや、紋章もんしょうの様な錠前じょうまえのついたいかめしい箪笥たんすや、虫の食った鎧櫃よろいびつや、不用の書物をつめた本箱や、そのほか様々のがらくた道具を、滅茶苦茶めちゃくちゃに置き並べ積重ねた。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)