籬落りらく)” の例文
所詮は野人の籬落りらくに見るべき花で、富貴の庭に見るべきものではあるまいが、我々の荒庭には欠くべからざる草花の一種である。
我家の園芸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
籬落りらく」という題がつけてある。生垣いけがきで囲われたわら屋根の家が、閑雅に散在している郊外村落の昼景である。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
導かれてそこに到れば、長松大柏ちょうしょうたいはく森々しんしんおくをおおい、南国の茂竹もちく椰子樹やしじゅ、紅紫の奇花など、籬落りらくとして、異香を風にひるがえし、おもわず恍惚とたたずみ見とれていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)