篠山ささやま)” の例文
窯はその国の古い都篠山ささやまから、そう離れたところではありません。立杭たちくいと呼ぶ村で、今は兵庫県内の多紀たき今田こんだ村に属します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
先鋒の義経は、丹波路をとって亀岡から園部、篠山ささやまと通過し——篠山から西南の三草越みくさごえをさして急ぎに急いでいた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
発祥の地は丹波の篠山ささやまだが、お国名物のデカンショ節とは縁が遠く、下宿の本棚には、何やら六つかしいものをならべて置くといった肌合いであったと思う。
「福引の箪笥はくれるぜ。去年の暮に僕のところの女中が引いてきた。して見ると高等学校の教員は丹波たんば篠山ささやま出身の女中よりも馬鹿にされているんだね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「御冗談じゃございません、おれの行くところはどこだと交番でお聞きになるは、篠山ささやま杢兵衛もくべえさんに限ったものです、あなた様などの御身分で、めっそうもない」
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
京都所司代前田玄以の長子左近はその弟従弟と共に八名の近臣を伴つて篠山ささやまから上洛、師父と共に殉教を覚悟。内藤如安も死を決意し、細川ガラシャは就刑の衣裳をつくつて命の下る日を待つた。
おんなは、丹波たんば篠山ささやま生まれだという。顔がせているくせに、手が大きい。色恋ではつきあえないが、不愍をかけるというものは、やはり遊びの場合にでも、いくらか良心を救うらしい。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丹波の篠山ささやまでも大江山でも